【書評】会話もメールも 英語は3語で伝わります (自作英文付き)
今、英語上達完全マップで勉強をしてる。
TOEICスコアも上がり、基礎は固まった実感があったので、本格的に英会話のトレーニングを始めたいと思った。
英会話をどのサービスでやるかはいろいろ検討したけど、mylangageexchange.comで知り合ったイギリス人と週1回1時間くらいSkypeで会話をしてる。
時間としては1回90分~120分、週2~3回の高密度でやりたいと思っているので全然足りてない。
といっても相手の都合&時差もあってなかなか回数は増やせない。
トレーニング時間についてはどうにか確保したいところ。
対面でのトレーニングをやりたい部分もあるので、やっぱ家庭教師かな~と思ってる。
というわけで、英会話について会話相手を見つけてトレーニングを始めたものの、やっぱり上手くしゃべれない。
相手の話している内容が理解できなくて(20%くらい?)
「Sorry. I don’t understand.」「Could you say more slowly please?」
というフレーズを何度も使ってしまう。
あと、相手の話している意味が分かっても、「日本語でどう言えばいいんだろ?」とフリーズすることもしょっちゅう。
英会話については「瞬間英作文やってればいつかできるようになるでしょ」という楽観的なスタンスを持っていた。
でも、「やっぱ、喋れないよな~」という悩みがあった。
そんな中、日曜日のデニーズモーニングの帰り、近くの本屋で英会話の本を物色していたところ見つかったのが本書。
「会話もメールも 英語は3語で伝わります」という見出しを見て、「いや3語は無理でしょ。誇大広告乙!」と正直思ったけど、平積み&POPでめちゃくちゃプッシュされてたので手にとって見た。
著者の経歴を見ると(私は実用書は必ず著者の経歴から見る)、中山裕木子さんは普通にすごい人のようだ。
京都大学非常勤講師、工業英検1級首位合格、難関の特許英語翻訳専門と、とにかくすごそう。
私も会社で技術英語に触れる機会が多いので、技術英語のライティングを高めることも興味があり、自然本の内容に興味が出て、その場で買ってしまったのだった。
日本人の英語はなぜ伝わらないのか
「アルコールを飲みすぎると、気持ちが悪くなる」ということを伝える時、どう英訳すればいいのか。
日本人だと
When I drink too much alcohol, I feel sick.
という文を作りがちな気がする。
間違ってはいないけど、とても日本語的。
英文を組み立てる際の思考はこうなる。
①「アルコールを飲みすぎると」、だから
When I drink too much alcohol,
②「気持ちが悪くなる」、だから
I feel sick.
③続けていうと
When I drink too much alcohol, I feel sick.
という感じだ。
日本語と同じように2文節になっていて、日本語からの英訳としては訳しやすい。
間違ってはないけど、日本語的発想だ。
主語と述語が離れてて、最後まで聞かないと言いたいことがわからないのがとても日本語っぽい。
これを著者のいう3語で表現すると、とても英語っぽくなる。
Heavy alcohol drinking causes my feeling to be sick.
実際は3語じゃなけいど、SVOという骨格で表現するのが、本来の英語の組み立て方という話だった。
英語は論理的な言語であり、S→V→Oの流れで相手の言いたいことがスピーディーにわかるのが特徴だ。
このSVOの流れを重視して英語を組み立てなさいというのは、今まで全く気にしてなかったし、目から鱗の内容だった。
そもそも、日本語と英語は言語を組み立てるプロセスが全く異なる。
でも、英会話のときは日本語で言いたいことを考えてから、英語に直訳するという作業を行ってしまう。
このため、ネイティブに伝えわらない表現になってしまい、直訳もスムーズに行かない。
「会話もメールも 英語は3語で伝わります」の著者が推奨するのは
①まず日本語で言いたいことを考える
②SVOで英語を組み立てる
③組み立てた英語を話す
この②SVOで英語を組み立てるというプロセスを入れるだけで、圧倒的に英語を組み立てやすい&伝わりやすくなるというのが著者が伝えたい「会話もメールも 英語は3語で伝わります」の肝だと思う。
多くの日本人は②のプロセスをふっとばすから、うまく英語を組み立てられない、相手にも伝わらないということになっているんだと思う。
このことが理解できただけでも本書を購入した価値はあったと思う。
相手に伝わりやすい英語のテクニカルライティングとは?
本書で紹介していた、わかりやすく伝えるための英語のテクニカルライティングの話もとても参考になった。
内容は
能動態を使おう
平易な言葉を使おう
無駄な語は省こう
明確で具体的な語を使おう
読み手が頭に描ける語を使おう
実験と結果については過去形を使おう
それ以外は現在形を使おう
という内容だ。
これは今後の英語のライティングの方針としてとても参考になった。
本書では
Be動詞は日本人が好むがわかりにくい(です、ますで同じだから使いやすい)
過去完了系はいらない
SVOCはいらない
などいらない文法を、バッサリ切って、必要な情報に集中することを推奨していた。
確かに日本人などのノンネイティブの場合、文の組み立てを極力シンプルにしたほうが、明確な方針で文章の組み立てができる。
日本語からどう英語に変換するのかという際に、組み立てルールをシンプルにすることは重要だと感じた。
実際、本書を読んだあと、イギリス人のSkype仲間と会話したときも、話しやすくなったように思える。
There is~で言おうか
I haveで言おうか
など、構文で迷うことが少なくなった。
文法の総復習としても役に立った!
本書では、文法の説明が丁寧で、初~中級者が文法知識を総復習するのにも役立つと思う。時制の説明、助動詞の過去形、前置詞の説明など、文法についての解説が比較的多くあり、とてもわかり易かった。
英会話でとても使いやすい基本語の解説も多くて、読みやすい文法書、英語初心者のための導入書としてもオススメできる内容だった。
というわけで、本書は英語を勉強したい初心者の人にも、TOEICは結構できるけど英会話でうまく話せない上級者の人にもオススメできる内容だった。
実際に英語でコラムを書いてみた。
本書のエッセンスを吸収したあと、実際に自分で英文を書いてみたので紹介してみる。
ライティングの方針が全くなかった頃と比べると、本書を読んでからスタンスが固まり、英文を組み立てやすくなったと感じる。
実際、英会話でも一つの方針があると、構文で迷うということがなくなるので、あとはボキャブラリーの問題という状況になると思う。
Why do Japanese like overtime work?
In my office,Working hours are 9am to 5pm.
But some coleagues work 8am to 10 pm.
There is a tradition of "Working for a long time is great!" in Japan.
If I leave work on time, my boss must label me "He is not working hard! "" He doesn't have the motivation for work!"
But I will leave work on time.
“Long hours of work equals motivated worker” is wrong.
Leaving work on time is OK if I accomplish a task from my annual job task list.
I want to go on a trip for a week or more when possible.
But this is difficult for me.
Because When I am absent at work, my boss have to work on my work.
It must be tough for him.
This is obviously an inconvenience for him.
Therefore, it is difficult to take a long vacation for me.
How can I take a long vacation without inconveniencing my boss or colleagues?
If I make my own company, I may be able to work freely.
まとめ
日本人はなぜ英会話が苦手なのか。という疑問に対し、SVOで英語を組み立てましょうと明確なスタンスを示した本書は偉大だと思う。
言語のプロセスの違いから日本人がやりがちな間違い、最低限必要な文法知識、単語、捨てるべき構文を読むうちに、「英語をシンプルに伝える」ことの重要性が理解できた。
瞬間英作文は中学英語の文法を徹底的に叩き込んで、自然に口から出てくるレベルに持っていくトレーニングだった。
本書はさらに必要な文法、単語を絞り込んで会話することの重要性を教えてくれた。
英会話、ライティングをどういうスタンスで組み立てていけばよく分かっていないと言う人にはとても参考になる本だと思う。
最初「いや3語は無理でしょ。誇大広告乙!」と煽ってしまったが、実際に読んで見ると、確かに「会話もメールも 英語は3語で伝わります」は的を得ていると思った。
すべてのレベルの英語学習者にオススメしたい良書。
読んでみて損はないと思う。